「どこって、外、だ」
何気なく呟かれた彼の言葉に目を見開いた。
「外・・・?い、いい!私は行かなくて!それに、おおお降ろして・・・」
最後はごにょごにょと呟く。
冷静になって考えてみたら、これは・・・お姫様抱っこと言うやつでは。
それに、何故か、私を抱きとめる腕が、優しくて。妙に気恥ずかしい。
目は、言葉は、こんなに冷たくて険しいのに。
ヘリオトロープは足をばたつかせる私を意に介すことなく、ため息をつくとまた歩き出した。
「お前が行きたいか行きたくないかは関係ない。これは、“お願い”だからな」
「お願い・・・?」
場に合わない言葉に首を捻る。
「お前には関係ないと言っただろう。あと、」
考え込んでいた私は不自然に切られた彼の言葉に顔を上げた。
「あと?」
「さっき降ろせと言っていたが、降ろせばいいのか?」
「・・・え?」
再び立ち止まったヘリオトロープの目線を追って下を向く。
壊された窓からびゅおっと風が顔をなぶり、よく見もせず顔を戻した。
「・・・・・・いえ、お願いします」
こんなに、高かったのか、ここ。思った以上だった。
顔を青ざめさせた私にヘリオトロープはまた鼻を鳴らした。
「くだらないことばかり言うな、お前は。それにこっちの方が速いからな、降ろさないぞ面倒臭い」
「・・・速い?」
もう悪態は聞き流すことにしよう。随分と口の悪い少年だ。


