それを見たダイアンが嫌悪感を抱かせるような笑みを刻む。
「ふふ、不思議な話ですよね。私も国王様が何かを突然拾い上げたとき、どれほど驚いたか。ただ、この内容も驚くべきものですよ。読みますね―――
『親愛なる人間の王よ
セルティカ国王、オルカイトルムネ・ラ・レテ・セルティカ。
何故貴方の名前を知っているかって?
当然です。ワタシに分からないものはありません。
と、それはどうでもいいのです。貴方の名前なんて。
ワタシが用があるのは、貴方の娘。
アムネシアスムリィ姫。
彼女が成人する夜、私は彼女を迎えに行きます。
もちろん、良いですよね?
貴方は彼女を見たくないはずだ。
彼女を、早く何処かへやってしまいたいはずだ。
それが何故かも解りますよ。
アハ、わからないものはないと、言ったでしょう。
・・・3日後。私は彼女を頂きに参ります。
ワタシの、姫様を。
新たなセカイの王』
―――と、まあ、このような内容なのですが。
これでわかったでしょう?カムル様の早とちりですよ」
ダイアンが手紙読み上げる声を聞きながら、私は思わず両手で口を覆った。
内容も勿論不快極まりないが、そのせいではない。
全身ががくがくと震えているのがわかる。
こんな風にどこかふざけたように並ぶ言葉は、初めて聞くものではなかった。
私は、“これ”を、知っている。
この手紙を書いたのは―――
絶対に、夢の中で出会った、道化師だ。


