値踏みするような視線に、背筋が粟立った。
この人は、苦手だ。
出会う度、こんな視線で、舐めるように見られるから。
自分では自覚が無いのか、それとも隠す気がないのかはわからないけれど、不快にしか感じない。
ダイアンは私の黄金の瞳を覗き込むように見て、口角を曲げた。
「アムネシアスムリィ様。それから、カムル様。深刻な様子なのですが、この話、あまり構えないで聞いていただきたいのですよ」
「・・・それは、どういうことかなダイアン」
へらへらと笑うダイアンに兄様が低い声で詰問するようにたずねる。
その声にダイアンが兄様の方を向き、私はこっそりほっと胸を撫で下ろした。
ダイアンはどこか楽しそうに口を開く。
「どのような話をお聞きになったのかわからないのですが、これは正確には縁談ではないのですよ」
「でも、結婚の申し込みだと」
要領を得ない彼の言葉に、兄様が眉間のしわをぎゅっと深めた。
「まあまあ、落ち着いてください。今朝、この手紙が届いたのです」
宥めるように手を軽く振ってから人を食ったように笑って、彼はポケットから1通の白い封筒を取り出す。
「まあ、届いたというのが正しいのかわからないのですが。この手紙、いつの間にか国王の目の前に落ちていたのです」
どういうことだ。
兄様ほどではないが混乱している私はゆっくりと首を傾げた。


