彼女はそのふくよかな体を縮こまらせながら、恐る恐るといった様子で兄様にたずねる。
「そ、それで、姫様にご用件とは、何かあったのでしょうか?」
その言葉に彼は見せつけるようにため息を吐いた。
「本当は、わかっているよね?僕の用事は、アムリィの、結婚の話についてのことだよ。君はこれから、アムリィを連れていくことになっているのではないかな?」
リーンがびくりと激しく肩を震わせた。
「今朝のことを、し、知っておられるのですか」
「うん。だから、僕もついて行くから。よろしくね?」
そう言ってにこり、とまるで擬音が聞こえてきそうなほど完璧に微笑んだ兄様は、
「じゃあ、外で待っているから。アムリィを着替えさせたら出てきてね」
と、それだけ言い残して部屋を出て行った。
ドアの閉じる、がしゃん、という金属音が響いて、私はリーンと2人きりになる。
なんというか、気まずい。
「そ、それでは、姫様。お着替えのお手伝いをさせて頂きますので・・・」
彼女の言葉に促され、私は立ち上がった。
微かにぐらりと体が傾いだけれど、動揺しているのかリーンは気づかない。
衣擦れの音だけが部屋に響く。
しばらくして、リーンは口を開いた。
「姫様。カムルレニティス様から、お聞きになりましたか・・・どうやら、結婚の申し込みのようですね。おめでとうございます」


