「―――俺も」
しっかりと、私の手を握り締めた。
その瞬間、光が爆発する。部屋の闇が、散り散りになって、跡形も無く消えていく。
私とヘルの手の間から、じわりと、暴れる熱が、全身に巡って。
溢れ出た熱が、燐光になって、弾ける。
「これは・・・」
メルレアの時も、こうなったけれど。
あの時とは全然違う。私の身体も、震える。
ああ、身体がふわふわと、あたたかくて。
外套の中に潜めたブリギッドが、力の発動を感知してはっきりと熱を帯びているのがわかった。
「そっか、そういうことなんだね・・・母様」
この、あたたかさは。
「私の力は・・・こんなにも、優しかったんだね」
ヘルが私の黄金の瞳を見つめて、笑う。
「お前はやっぱり、このセカイの“希望”だよ―――アムネシア」
アムネシア。初めて私の名を呼ぶその声に、背を押されて。私は叫ぶ。
「さあ、セカイを壊しにいこう!
私と、きみと、このセカイの皆の、幸せを守るために・・・!」
私の瞳の奥には、もう輝く光が、見えている。
道標は、ここ“心”に。
「・・・ねえ、ヘル―――?」
さあ。
全ての後悔を、かき消すために。
最初で最後の、優しい優しい破壊計画を、きみとふたり、始めよう。
*
「・・・さあ、行きましょうっす、お2人さん。」
ドゥケレが弓を肩に担ぎ直して、宿屋のドアを開ける。
途端、朝日が私の目を焼いて、そっと目を細めた。
もう私もヘルも深く外套を着込んで、そしてヘルは眼帯も着けて、秘密を押し込んでいる。


