黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う


「・・・嫌いになったか、俺のこと」

やっぱり言わなければ良かった、と消え入りそうな声で呟いたのが聞こえて、私は振り上げた手を、振り下ろし、

そっと、彼の頬に、当てた。

びっくりしたようにヘリオトロープがゆっくりと顔を上げる。


「・・・やっと、私を見てくれたね。“ヘル”。」

私はあえて、彼の名前を愛称で呼ぶ。

「・・・なにを言って、」

これは今までの“ヘリオトロープ”じゃない。これからを歩む“ヘル”に、言いたいことだから。

私は胸いっぱいに息を吸って、ひとつひとつ、言葉を並べる。

「きみね、さっきから、ぜんっ、ぜん、何を言ってるのかわからないよ?」

「・・・は?」

「ヘルの、ばか!」

ぎょっとした顔で、ヘルが私を見て、それから、さらに目を見開いた。

「言わなきゃよかったなんて、言わないでよ・・・」

ぽろっ、と一滴、頬を水が滑り落ちた。

それを契機として、次から次へとぼろぼろと涙が出てきて止まらない。

「もっと自分のこと、大切にしてよ。自分が傷ついてるんだ、ってわかってよ!

ヘルのこと、そんなふうに思ったりしない。だって私は、ヘルと一緒に歩ける“今”の方が大事だから。

それにね、運命ってね、そんな簡単に変わらないんだよ。

私とヘルが“異端”同士として生まれて、こうして出会うこと。それが、運命だったんだと・・・私はそう思う。ううん、絶対に、そう!」

「・・・“今”」

噛み締めるように呟くヘルに、私は不格好に鼻をすすって、手を伸ばした。

「私は、きみと一緒に、いたい。これからもずっと、一緒に歩いていきたい!」

「・・・・・・ひっどい顔」

ヘリオトロープがふっ、と笑って、1度目を瞑って、私の手に、指を絡める。