「・・・皆から狙われた俺を、たった1人だけ、助けてくれた人がいた。
それが、妖精王―――プレティラ女王。お前の母親で・・・そして、俺たちの母親プルメリアの姉だった。
プレティラ様は一国の王という立場をかなぐり捨てて、妹の子である俺を守るために、俺を連れてたった1人で、地に降りたんだ。
俺は、プレティラ様のお陰で、ここにいる。俺は、生きている」
「それが、きみが母様のことをあんなに慕っていた理由・・・なんだね」
私の母様は―――プレティラは、彼にとってのたった1人の味方だったのだ。ヘリオトロープは私に軽く頷いて、でも、と呟いた。
「俺が、俺だけがのうのうと逃げ延びたせいで、後に残された母と、弟は・・・
・・・母は、俺が逃げてすぐ、俺の代わりに・・・消された。忌み子を匿った罪だと。
そして、弟は・・・
発現するのが遅かっただけで、弟にも、忌まれた力があった。 悪夢“ナイトメア”。人の夢に入り込み、意のままに操る力。そして、それが偽物だと見破られない限り、幻術で何であろうと実体を作り出す力。
弟の力も、とても恐ろしい力だった。・・・でも弟は賢かった。まるで自分には何の力もないように振る舞い、時期を見計らっていたんだ。
あいつが、そして俺が15になった時、あいつは動き出した。国の皆を操り、王の座に立ち、そして―――俺とプレティラ様の夢に現れた。
あいつは、俺に向かってただ笑った。『これは復讐だ』と。あいつは・・・ルリジサは―――恨んでいた。このセカイを。
そして何よりも俺を恨んでいた。母を殺し、女王を奪い、独りぼっちであいつを残した俺のことを。
もっと幸せに生きられるはずだった運命を歪めた、俺のことを」


