息を呑む私の前で、いたって静かな口調のままヘリオトロープは続ける。
「そして質の悪いことに、この力で奪ったものは自分で使うことができるんだ。・・・俺がBoostを使えるのだって、もう誰かも覚えていない奴から・・・『奪った』からだ。
ほら、こんな奴がいればセカイの均衡なんて見る間に崩れるだろう?
だから俺は、存在を消されそうになったんだ。当然だ・・・これだけ知れば、お前だってわかっただろう?」
「・・・そんな、」
消す、って、そんなの。
「ほんの生まれて数ヶ月の俺に、魔法を向けてな。」
淡々と続けられるその言葉に、私は思わず立ち上がる。
「いくらヘリオトロープが異端だったからって・・・そんなの・・・!」
睨みつけるような私の視線に、ヘリオトロープは逃げるように視線を逸らした。
「・・・お前が1番わかってるんじゃないのか。“異端”は受け入れられない、と」
「・・・!」
ぼそりと零されるその言葉に、私は何も言い返すことができなかった。それはずっと・・・私が言ってきた言葉だったから。
動きを止めた私に、ヘリオトロープははっとしたように一瞬だけ目を見開いて、でもすぐに苦笑を漏らして首を振った。
「ああ、いや・・・そんなのは良いんだ。俺がどう扱われていようが、そんなことは。むしろ、俺は本来ここにいるべきではない。
・・・俺のせいで運命を曲げてしまった人がいる。それだけが、俺の後悔で、懺悔だ」
違う。そんな顔で笑わないで。そんな風に声を揺らさないで。私が聞きたいのは、そんな話じゃないのに。
言ってくれればいい。私にも、『助けて』って。
自分が傷ついていることは、自分ではわからない。私は、もう良く知ってる。
でもヘリオトロープは・・・気がついてない。


