でも私の叫びにヘリオトロープはゆっくりと首を振った。
「いや、醜いはずなんだ・・・醜くなければ、いけない」
その声色は自分を責めているようで、胸が苦しくなる。
ヘリオトロープは何を抱えているというのだろう。
「・・・俺の過去“懺悔”を、聞いてくれないか」
その言葉に、私は即座に頷く。それを満足そうに見て、ヘリオトロープは思い返すように目を閉じた。
「・・・俺“たち”は、生まれた時、ふたりで一つだった。ふたりでやっと、ひとりぶん。そんな例今までになかったから、国中が大騒ぎだった。
黄金の瞳もひとつずつ、羽だって片翼ずつ。生まれた時から、俺“たち”は不完全で、不安定だった。」
「ヘリオトロープ、双子―――兄弟が・・・いるの?」
「・・・ああ、いる。向こうがそう思ってくれているのかは、わからないがな」
ヘリオトロープがどことなく寂しそうに目を伏せる。ヘリオトロープの、片割れ。とても気になったけれど、その顔に声が詰まった。
そしてヘリオトロープは、大きく息をついてまた話し始める。
「・・・俺たちがふたり一緒に生を受けた時点で、俺たちの運命は歪んでいたんだ。
エルフが双子で生まれることなんて初めてで、それだけで忌み子だと囁かれた。母はずっと必死で否定していたそうだ。俺たちのことを、守ってくれていた。
でもな。やっぱり・・・すぐに、俺には恐ろしい“力”があることがわかった。本来ならある力は全て使えず、その力だけが」
「恐ろしい、力?」
私の問いにヘリオトロープは視線を落としたまま答えない。その代わりに、小さく口を開いて呟いた。
「・・・『全ては我が手に』」
それはいつか聞いた言葉で。それを口に出したヘリオトロープが苦しそうに唇を噛んでいるのを見て、私は無性に嫌な予感がして彼に手を伸ばした。


