でも、何よりも。
「兄様が、」
―――カムルレニティス・ラ・レテ・セルティカ様、被魔法により御逝去。
そのひと文が、私を打ちのめした。
「嘘、どうして」
信じられなかった。信じたくなかった。
でも、何よりも壁に貼られた私の捜索願が、それが嘘ではないのだと告げている。
「どうしたんっすか、お姫さん?」
「・・・お前、本当にわからなくてそんなことを言っているのか?」
「え?オレ何かしたっすか?ただ事実を教えたまでっすよ」
本当にわからないようすで首を傾げるドゥケレにヘリオトロープが肩をいからせて息を吸って、でも何も言わずに目を閉じて大きくため息をついた。
そのかわりに私のほうを見て、口を開く。
「・・・おい、大丈夫、か・・・」
足を踏み出そうとしてくるヘリオトロープに、いやいやと子供のように首を振って、私は逃げるように後ずさりした。
ヘリオトロープが傷ついたような顔で動きを止める。
私はそれをよく見ないまま顔を伏せて、そのふらふらとした足取りのまま、ゆっくりと壁を伝って2人から距離を取るように歩いて、階段を上って―――部屋に入った。
ドアを閉めて、そのままずるずると壁に背をつけて座り込む。
私はいつかのように膝を両腕でしっかりと抱えて、小さくうずくまった。
「嘘、兄様・・・“また”、って言ったのに」
うそつき。
そう呟いても応える声があるはずも無くて。
何故私は、また会えると無条件に信じていたんだろう?
また会った時にはお礼を言おうと、自分自身の声でと、そんなことを思っていたんだろう?
こんな状況で、何故そんなに私は愚かだったのだろう?


