手持ち無沙汰になった私たちはドゥケレの勢いに押されて2人して顔を見合わせる。
「やっぱり何か・・・起こってるのかな」
「まあ、何も無いということはないだろう、な」
それで何か結論が出るはずもなく、私とヘリオトロープは各々ため息をついて部屋を見回し始めた。
私はふっと視線をやった壁に1枚の紙が貼られているのに気がついて、物を掻き分けながら近づく。
もしかしたらドゥケレが言っていた新聞か号外か、そういう類のものかもしれない。
そう思って目を凝らして、文字を辿る。
「・・・『セルティカ家より国民の皆に願う。我が国の第一王女、アムネシアスムリィ・ラ・レテ・セルティカをどうか見つけ出して欲しい。今や彼女の存在のみが我が国の未来だと誰もがわかっているだろう。褒美は弾む。ルクムエルク家の手に渡らせてはならない、決して』
・・・なに、これ・・・」
私の捜索願を、ルクムエルク家だけではなくセルティカ家も出している?何故。あの愚王は私がいなくなってせいせいしているはずなのに。
我が国の―――セルティカ家の、未来。
そして、私が冠することがあるはずのない、“レテ”の称号。
これが、意味するのは―――
「どうした?」
私が微動だにしないのに気がついたのだろう。かかった声に私は振り返った。
「ヘリオトロープ・・・何が、起こっているの?」
激しく波打つ私の声に只事ではないとわかったのかヘリオトロープが物にぶつかるのにも構わず真っ直ぐに最短距離でこちらに向かってくる。
私の後ろから紙を覗き込んでしばらくしてから、ヘリオトロープは「これは」と小さく呟いた。
多分、私もヘリオトロープも確信に近いことはわかっている。薄らと、わかっている。
でも、確かな答えは、わからない。
いや、わからないというか、なんだろう、知りたくない―――


