黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う


ただの、何なんだろう。

主従関係?いや、でも私は別にヘリオトロープの主ではないし、ヘリオトロープだって私に仕えている訳では無い。

契約関係?いや、私とヘリオトロープは何ら契約なんて交わしていない。ヘリオトロープが母様の“お願い”を守ろうとはしているけれど。

私は愕然とした。

もしかして、私たちの関係を言い表す言葉なんて、存在しないのではないかと。つまりそれは、私達の間に明確な繋がりは無いということで。

「どうしたんっすか?」

ドゥケレの相変わらず空気を読まない明るい声に私は我に返った。

「あ、えっと・・・なんでもない」

私の声に、少年は深紅の目を細めて至近距離から私の黄金の瞳を見つめた。

「ふーん、そうっすかぁ」

そう言ってつまらなそうに私を解放する。

「おふたりさんとも反応が鈍くて面白くないっす。もっと『えー、違う違う!そんなの有り得なーい!』みたいなの期待してたんっすけどー」

その声真似は私なのだろうか。・・・私はそんな変な喋り方をしているように聞こえているのか。

私はため息をついて首を振った。

「だって、違うから」

「んー、まあ、寧ろそういう方が実は本当はーってことは良くあるんで、何とも言えないっすけどねぇ」

その言葉に私の心の内を見透かされているような気がしてどきりとする。

いや、まさか・・・ね。こんな短時間で私の気持ちがばれるわけが。

「・・・ま、それならいいんっすよ。」

オレだってまだそっちの方が良心が痛まないっすから。ドゥケレが声を低くして小さく呟いたのを聞き逃して、私は顔を微かに伏せた彼の顔を見た。

「何?今、何か、」

「あ、ほら見えてきたっすよ。本日のお宿っすよー」

遮るように声を被せてきたドゥケレを軽く睨みつつ、私は視線を上げた。