絶句するヘリオトロープに剣を下ろすように言った。ため息をついて、不服そうにしながらも彼はそれに従う。
「あー、なかなか話のわかるお姫さんで良かったっす」
あいたた、とぐるぐると見せつけるように腕を回し、首を捻ってみせる。
そんなドゥケレの様子を見ながら、私は彼の瞳を覗き込んではっきりと言い放った。
「あなたたちが何を企んでいるのかは知らないけれど、そう簡単にいくと思わないで。
私はハーフエルフだけど、それ以上に“私”なんだから」
仁王立ちする私をきょとんとした目で見た後、ドゥケレは心底おかしいと言うように腹を抱えた。
「―――はは、いいっすね、オレそういうの嫌いじゃないっすよ。なんて言ったのバレたら、ディラン様に怒られるっすかねぇ。
まあ、てことで行きましょうか、お姫さん。あと、そこのお兄さんも」
「・・・自分から俺を呼ぶだなんて、随分余裕だな。」
「余裕っていうか、お兄さんはこのお姫さんが俺になんかしろって言わない限り、なんもしない、いや、できないと思うんで。
お兄さん1人連れていったって、オレたちには何の支障もないっすよ」
そう言って邪気無く笑うドゥケレに、ヘリオトロープが不機嫌そうに大きく舌打ちをした。
それを見てまた笑うと、ドゥケレはまたにこりと笑って、軽やかな足取りでドアを開けた。
「・・・気をつけろよ」
そう小さく耳打ちしてくるダイモスに頷いて、私は、そしてヘリオトロープはヴァンパイアの少年の背を追って店を出た。


