黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う


「オレらヴァンパイアは呑気な他の種族のヤツらと違って、ずっと文献読んでるんすよ。このセカイに情報として残っているものなら、大抵は知ってるっすよ?

なんだったっけなぁ、『新しきセカイは開かれん、永い夜の夜明けと共に』・・・え、もういいんっすか?」

震える私に構わず、寧ろその様子を楽しそうに見ながら彼は詩を朗読する。・・・あの詩を。

ヘリオトロープが首元にまた剣をやったことで少年は言葉を途切れさせた。

「あれー、なんかオレお呼びじゃない感じっすかね?まあオレだって駆り出されてる可哀想な立場なんで、優しくしてくださいね?

あ、オレの名前はドゥケレっす。以後お見知りおきをー」

ドゥケレと名乗った少年はへらりと笑うと私に手を差し出した。

「じゃあ、行きましょうかお姫様。オレ、ディラン様のお使いなんすよ。ディラン様が国で待ってるんで。あ、ちゃんと道案内はするんで、安心してくださいっす」

ディラン・・・それは、あの時会談で出会った、ヴァンパイアの王の名。

ぐいと剣を押し付けられてもなお、それを意に返すことなく笑う。そんな少年をダイモスが睨んだ。

「お前さん、なんと勝手なことを・・・ヴァンパイアは何を考えている?」

「・・・うるさいっすねぇ、他種族のことには触らず触られず、それがこのセカイの暗黙のルールじゃないっすか。

黙って見てればいいんすよ、ドワーフなんてろくな力も持ってないっていうのに」

その言葉は正確には正しくないけれど―――私は聞くに堪えず声を上げた。

「いいよ、ヘリオトロープ、ダイモス。私、ついて行く」

「・・・は!?」

「だっていつかは絶対に会わなければいけないでしょ?そんなの、早いか遅いか、そしてそれが今だった、ただそれだけのことだよ」