私たちに向けられたのかわからない言葉だったから、私はただ小さく頷くに留めた。
・・・それよりも、聞いておかなくてはいけないことがある。
「ダイモスは、私に何を望むの?・・・剣を貰ったんだもの、私、大抵の要求は呑まなければいけないでしょ?」
ダイモスは私の言葉にぱちぱちと小さな瞳を瞬かせる。
まるで思ってもみなかったことだとでも言うように、考えながらゆっくりと話し始めた。
「ワシは長とはいえ・・・形だけだからな。皆散り散りになって暮らしておるので、国もへったくれも無いし、そんなワシがドワーフという種族として何かを望むことが・・・できるはずもない。
・・・何も望まぬよ。そもそもそんなつもりなら、お前さんたちがここに来た時、何も言わないわけがないだろう?ワシはこのブリギッドが完成し、お前さんに託せるだけで良い」
それは彼の真意なのだろうか。無精髭に隠された表情を察することは容易ではないけれど、先程の呟きを聞けば、その言葉は嘘ではないような気がする。
ダイモスは黙り込む私にはっきりと微笑んだ。そして、大きく声を上げる。
「ワシらドワーフは、更なる創作の道だけを辿る。
ゆけ!お前さんは、お前さんの道を―――アムネシアスムリィ姫!」
私はその言葉に息を吸い込み、胸を膨らませた。その声は、私の胸を、強く叩いて。
「ありがとう、ダイモス」
そういって私が彼に向かって笑った時、からんころん、と来客を知らせる音が小さな店内いっぱいに鳴り響いた。
ヘリオトロープが警戒するように飛びすさり、柄に手をかけて構える。
「こんな辺鄙なところ、来る奴なんてそうそうおらんのだがな」
そうダイモスが小さな声で呟いた。


