それを見てダイモスが愉快そうに肩を揺らして、私に視線を戻した。
「・・・と、いうわけだ。
それにな、ワシはお前さん、にこの剣を託したいのだ。ワシの1本目の魔剣―――名は、Brigid“ブリギッド”」
「ブリギッド・・・」
「この名はな、とある女神からとったものだ。ブリギッドは火を司り、そして詩の女神でもある。そしてこの名は“崇拝される者”という意味も含んでいるのだ。
どうだ、ぴったりだろう?この先に立ちはだかる障害を切り裂き、きっとお前さんを導いてくれるはずだ」
彼の言葉を聞いても、正直まだためらいがあった。
私にはまだ自分の力がわからない。この剣を使うことはできないのだから。
そんな私がこの剣を―――ブリギッドを、託されてもいいのだろうか?
逡巡していると、手の中で一際じわりと熱く、ブリギッドが存在を主張した。まるで連れて行って、とそう訴えるように。
剣が生き物のように自ら意思を発したというのか、わからないけれど。もしかしたら、私の勘違いかもしれないけれど。
でも私に決心させたのはその熱だった。私はぎゅっと両手で赤く輝く鞘を抱え込み、胸に寄せてダイモスを見上げた。
「わかった。私が、連れていく。」
「そうか・・・」
ダイモスが気が抜けたように肩を下ろして、目を細める。
私が外套の中にブリギッドをそっとしまっていると、独り言のように、ふわりと浮き上がるような夢見る口調で、遠くを見ながらダイモスが呟いた。
「ワシは自分の力の意義が知りたくて作ったのかもしれない、この剣を。そしてずっと待っていたのかもしれないな、この日を・・・」


