黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う


「さあ、帰ろう―――私の居場所へ」

私の声に呼応するように、白髪が煌めいて、広がった。

私はそれをフードの中に深く深く押し込めて、確かな足取りで歩き始める。



もうすっかり明るくなった街道。

来た道を思いだしながら歩いていると、宿屋の前にうろうろ歩き回る人影が見えた。

私はそれを見るなり、ほとんど走るみたいに近づく。

足音に気がついたヘリオトロープがばっとこちらを振り返った。

「お前、なあ!」

珍しく柳眉を逆立て、怒りを露わにこちらを睨んでいる。

いつもの無表情よりはいいけれど、表情を出したと思ったらそんな顔だなんて。なんだかな、という感じ。

だから私は、そのまま足を止めずに腕を伸ばして彼の胸に飛び込んだ。

ヘリオトロープが物凄くびっくりしたように、ただそれでも腕の中にしっかりと私を受け止める。ふわりと大好きな匂いがする。

・・・でもね、ヘリオトロープ。匂いだけじゃないの。“お願い”を遂行しているだけのきみにはとても言えないけど。

私はきみが、大好き、だよ。

「ただいま」

だからね、その代わりに、この言葉を言わせて。

もう今なら、何も私の表情を遮るものはない。ヘリオトロープの顔を見上げて笑うと、彼は何故か激しく紫の隻眼を泳がせた後、はっと我に返ったように私の手首を掴んで急に体を引き離した。

「・・・お前な、本当、何やってんだ!入れ違いにでもなったら困るから探しに行けなかっただろうが・・・」

「心配させたね、ごめん」

「・・・は?そんなことひとことも言ってないだろ」

「だって、手のひら汗凄いよ」

また無表情に戻っていたヘリオトロープが、私のその言葉を聞くや否やばっと私から手を離す。

無意識だろう、そっ、と手を外套で拭うと、そっぽを向いた。