黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う


質問に答えないまま黙り込んだ私に、メルレアが不安げな視線を向けてくる。

『どうかしたの?』

「・・・ううん、なんでもない」

どちらにせよ、あるいは何にせよ、私には答えを出すことはできない。

だから私は首を振って、考えるのを止めた。


ついと何気無く視線を上げると、ずっとずっと遠くの水平線の向こう側から、夜の終わりを告げる曙色がじわりと目を焼いた。

それは私が見ている間にもどんどん滲み出してきて、息の詰まるような闇を追い払っていく。

朝の訪れだ。

―――昨日とは違う、新しい、1日の。

そう私が思ったと同時に、ぱさりと微かな音を立てて外套が質量を失った。

月が隠れるのと一緒に、羽が無くなったのだろう。

一際強い風が吹く。それに煽られてフードが激しくはためき、呆気なく私の頭から滑り落ちる。でも私はそれを押さえようとはしなかった。

外套の中に残った燐光の残滓と共に、私のほんのりと薔薇色に光る白髪が、拘束を失い自由になってきらきらと煌めきぶわっと海風に広がる。

まるで、私の気持ちを表すかのように。

「もう、私・・・帰らないと」

その煌めきにそっと言葉を乗せる。

私を待っている人がいる。待っていてほしい人がいる。

帰りたい、場所がある、から。


メルレアが私を見て眩しそうに目を細めた。

『きみにも、とっても大切な人が、いるんだね。』

ほんの数刻前なら、ためらっていたに違いないその返事。

でも私は、真っ直ぐに彼女の優しげな光を放つ藍色の瞳を見つめ返して、笑った。