眩い光にくらりとしながらも、私は目を凝らす。
その光の中に、見たことのあるあの幾何学模様がちらついたような気がしたから。
その光は私の黄金の瞳にその存在を主張した後、すぐに消え去った。でも私の瞳の奥には、まだ光が―――魔跡が、残っている。
「今のは・・・」
呆然と呟く私に、メルレアが文字を綴る。
『このセカイの全ての水が、私の目。耳。腕。水がある所ならどこでも、私には認識することができる。
だから、アムネシアスムリィ姫。もし困ったら、川でもいい噴水でもいい。私の名を呼んで。
きみが言ってくれたのと同じように、私もきみを助けるから』
「メルレア・・・もしかして」
深刻な響きを帯びて硬くなる私の声にメルレアは不思議そうに首を傾げる。
『私は水を自在に操れるみたいなの。どうしてかはわからないんだけどね。
これってやっぱり魔法、なのかな。ずっと黙って生きてきたから、誰にも訊くことができなくてわからないの。
でもそんなはずないよね?だって私マーメイドだし』
・・・どういうことだ。
炎の魔法が使えるドワーフのダイモス。そして多分、水の魔法が使えるマーメイドのメルレア。
エルフにしか使えないはずの能力を、どうしてそれ以外の種族が使うことができるの。
エルフではない。そう、そのはず。
でも魔法が使えるということはそれはつまりエルフの血統を表しているのに、そうでないとしたら、どうして・・・
いや、待てよ?
もしかしたら、前提が・・・違うのか?
もしそうだとしたら?
思い込みほど怖いものは無い。


