黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う


今のは、一体・・・

固まる私の前で、メルレアが砂浜を指先でなぞる。

『今のは、きみの“力”?』

「・・・わからない。どうなんだろう」

震える私の声は驚くほど弱々しくて、恥ずかしくなった私は手を振りほどこうとした。

でもメルレアは私の意に反してその手を離すまいと、強く私の手を掴む。

彼女は私の言葉には答えず、もう片方の手で軽い指取りで文字を綴った。

『素敵だね。なんだか、手のひらからじんわりとあたたかいものが登ってくるみたい。

今なら何だって信じられそうだよ』

「そう・・・かな」

メルレアはブロンドを跳ねさせ、頬をほんのりと上気させてそう笑うけれど、絶対とは言い難い無責任な約束をした気後れのためか、私には良く・・・感じられない。

『ありがとう、アムネシアスムリィ姫。冗談でも嘘でもなんでもいい。

信じてみたい、って。新しいセカイに期待してみたい、って。そう思わせてくれてありがとう』

でも、メルレアの顔を見て、まあいいかと。

私は彼女の笑顔につられるようにふっと頬を緩める。

するとメルレアが悪戯っぽい笑みをその柔らかそうな頬に深く刻んだ。

『本当は迷ったけど、やっぱり教えてあげる』

メルレアはそう文字を書くと、私が反応するよりも先に、私の額に自分のそれをこつりと優しくあてがう。

「な、なに?」

彼女は戸惑う私に微笑むと、ほんの少しだけ、目をそばめる。

次の瞬間、すぐ視線の先にある彼女の藍色の瞳が、一際強く輝いた。