黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う


メルレアはちらりとこちらに視線をやって、それから短く、

『変えたい過去がある。

そして、会いたい人がいるの』

と月光に淡く白く発光する砂浜に綴った。

「会いたい人・・・」

それは、親だろうか、兄弟だろうか、はたまた―――恋人だろうか。

繰り返した私に、メルレアが目尻を下げる。

『私が会いたいのはね、“大好きだった人”だよ。』

私の予想のどれとも違っていた。彼女の会いたい人は、“大好きだった人”。恋人だとは言わないあたり、お互いが想い合っていたというわけではないのだろうか。

『もし良かったら私の話、聞いてくれない?もう他人と話すのなんていつぶりかわからないし、これから先もいつあるかわからないから』

過去を見つめるように遠い目をする彼女に、私は頷いた。

それを確認してうっすらと微笑むと、メルレアは時折記憶を思い出すように目を閉じては、指を走らせる。

『もう、ずっとずっと昔。いつだったのか、思い出せないくらい。

私たちは、嵐の日に出会ったんだよ。その日人間の船が漁に出ていてね、私は海に投げ出されたあの人を必死で助けたの。

私はね、まるで何かのお伽噺みたいに、

その人に、ひと目で恋に落ちてしまったの』

私は彼女の言葉に恐る恐る問いかける。

「それって、つまりマーメイドじゃない、ってこと・・・」

驚いて目を見開く私にメルレアが苦笑して頷いた。