よく舗装された路は真っ直ぐで見通しも良いため、迷うようなこともなく、潮騒の音を頼りにここまで来ることができた。
海。なんと形容したらいいのか・・・向こう側が見えないほどの大きな湖。本で見たことはあったけれど、まさかここまで大きなものだとは思っていなかった。
あの時はゆっくり見る余裕なんて無かったけれど、こうして改めて見るとあまりの壮大さに言葉が出てこない。
自然の大きさに圧倒されつつも、私は空を仰いだ。
「見てる?・・・私はひとりでだって、歩けるんだから」
遠く遠く、空高く、変わらず私を照らし続ける月を、睨みつける。
そんな月は私のことなんか知らん振りで、鏡のようにてらてらとした海面にその姿を映していた。
“お前が心安らげる場所なんてあるわけがないだろう?”
その輝きは相変わらずそう私に囁いているようだけれど。
「・・・違うよ」
私は不敵に微笑んでみせる。
「違う・・・私は、見つけた。
・・・そうだね、居場所ではないかもしれない。でも、居場所にしたいって思った場所があるの。」
今だってそう。
彼の存在があるから、私はここまで来られた。
彼のあたたかさがまだ残っているから、私はこうして夜に、あなた“月”に立ち向かえる。
「誰でもいいんじゃない。私は、ヘリオトロープの隣じゃないと駄目なの」
・・・こういうことでしょう、クワオア。
やっとわかったよ、私。
旅の中で、やっとひとつ、答えを見つけた。


