しかし彼は首を左右に振ってはっきりと否定の意を示した。
「違う。この力は・・・生まれつきだ。
気づいた時からは隠すようにしてきた。炎に限定されるとはいえ魔法が使えるなんて露見したら、とんでもないことになっていただろう。
・・・あるいは、今のお前さんのようにな」
「・・・」
唇を噛む私をちらりと見て、ダイモスは言葉を続ける。
「だからワシはドワーフの長という立場ではありながらも、1年のほとんどをここで過ごしている。
ここで、こうしてこっそり・・・魔法、を使ってな。
まあ、他の者も大概街に住み着いているからな、そうしてもたいして影響は無いからこのようなことをしても大丈夫なだけなのだが」
きっと今まで幾つもの山場を乗り越え、苦労してきたのだろう。その声には明らかな疲労の色がこもっている。
その気持ちは、私にもわかる。
彼に比べれば本当に短い期間ではあるものの、他から異としてみなされれば、どこまでも追いかけられ、追い詰められるのだということはこの身で体験したから。
「そんなに一生懸命隠してきたことなのに、初対面の私たちなんかに話してもよかった・・・?」
だからこそ、小さな声でそう尋ねると、ダイモスは苦虫を噛み潰したような顔をした。
「まあ・・・あまり言いふらしたいことではないが。でもあの娘―――クワオアがどうしてもと言うからな・・・」
「クワオアが?」
「ああ。お前さんにとって大事なことなんだと。無理を承知でのお願いだと言われてな・・・長い付き合いであるし、断り切れなかった」


