「・・・こういうことだ」
はっきりと言葉にしないダイモスを睨みつける。
「こういうことって、どういうこと!」
金槌が―――きっと台に置かれている剣も同じように魔跡が現れていたので同様に―――作為的にそうしなければ有り得ないほどの熱を持っているということ、そしてそれを引き起こしたのが恐らく、ほぼ間違いなくダイモスなのだろうということはわかった。
ただ、だからそれが元々何であるのか。それについての確証が得られない。
私の声に、ほとんど投げやりにダイモスが手元にあった新聞を引っ張り出して手に取った。
そして、それが彼の手に握られてくしゃりと文字を歪ませた途端、また赤い光が一面に一瞬だけちらつく。
それと同時に煙を吹き出しながら下から燃え尽き、瞬きする間に細かな灰になって彼の指から零れ落ちた。
「・・・これでさすがにわかったか?」
「手から炎が出た・・・?」
目の前で起こった有り得ないはずの現象に言葉を失う。
そうとしか表現できなかった。何も無い場所―――ダイモスの手から炎が生まれ、その炎がみるみるうちに新聞を燃やしてしまったのだ。
Boostも確かに似たようなことはできる。
ただ、それは元々『炎』という存在があるからこそ、その事象に干渉してそれを大きくしたり小さくしたりすることができるというだけで、無から有を生み出すことは不可能だ。
それができるのは、自然界を自由に使役することができるエルフの“魔法”のみ。
つまり、ダイモスは炎の魔法を使うことができるということだ。
「ダイモスは、エルフ・・・なの?」
それ以外に原因が考えられない。クワオアと仲が良いようであるし、もしかしたら禁術を―――ということも、絶対にないという訳では無いかもしれない、が。


