「え、え・・・?どういうことなの?ドワーフが魔法なんか、使えるはずが・・・」
私はその無表情に戸惑って声を上げてダイモスの姿を今1度確認する。
瞳は群青色、髪はくすんだ焦げ茶色。耳は丸く、羽もない。
全くと言っていいほどエルフの特徴を押さえていない彼がエルフだとはとても思えないのだが。
ダイモスは私たちに背を向け、半分になった剣を作業台に置きそれに向かって立つと黙って金槌を持った。
彼の手が白く染まり、ぎゅっと力を込めて拳を握りしめたのだろうとわかる。
すると次の瞬間、先程のような赤い光が金槌と剣とどちらにも走った。それを確認してからダイモスは分厚いグローブを両手に嵌めると金槌を再びとり振り上げた。
彼がそれを剣に叩きつけるとかぁん!といい音がした。
それを幾度か繰り返すとみるみるうちに剣の姿が変わる。歪だった断面が滑らかになっていく。
本来なら武具の精製に必要不可欠であるはずの熱する作業はやっていないにも関わらず、まるでその工程が元々必要無いものであるかのように彼はただずっと剣を叩き続ける。
幾度叩いたのだろうか。何度も何度も金槌と剣とがぶつかり合い、その金属音が明らかに異なる響きを帯びるようになった頃、ダイモスはやっと作業の手を止めた。
そしてくるりと振り返ると、私に無造作に手に持っていた金槌を差し出す。
「触ってみろ」
今までの様子を見ていてなんとなく察していた私は恐る恐る手を伸ばしてちょんと少しだけそれに触れた。
その途端、予想していた通りのじわりとした鈍い痛みが指先に広がる。
「あつっ・・・!」
本能的に瞬時に手を引っ込めた私の顔を見て、ダイモスが呟いた。


