「・・・運命?」
私はクワオアも口にした、何気なく呟かれたその言葉を繰り返す。
それには応えず、ダイモスはヘリオトロープを見やった。
「・・・打ち直して、いいんだな」
「ああ」
ゆっくりとヘリオトロープが頷いたのを認めて、ダイモスが布から剣の柄を持って半分になった剣を持ち上げた。
その磨き上げられた刀身が明かりに反射してきらりと輝く。
しかしそれとは別に、一瞬その剣の表面を赤い光が駆け抜けた。
見間違いではない。何かは良く分からないが、小さな文字のような幾何学模様が、表面にぐるりと貼り付いて光ったかと思うとすぐに消えた。
「ヘリオトロー、プ・・・」
不思議な現象に隣を見ると彼は珍しく驚きを露わに目を見張っていて、私は呼びかけた彼の名前を途中で飲み下した。
ヘリオトロープが唇を微かに開いた。微妙に震える声で剣を持つ男を半ば睨みつけるように見据える。
「ダイモス、と言ったか。今の・・・魔跡だろう。
・・・どういうことだ」
途端張り詰めた空気になる。恐る恐る私はヘリオトロープに小さな声で尋ねた。
「魔跡って何?」
「・・・エルフが魔法を使う時に現われる模様のようなものだ。
魔力が通った通り道を残していくところから魔跡と呼ばれている」
きっと文献にでも載っているのだろう。相変わらずの知識量に舌を巻く。
「・・・相変わらずよく知ってるね。
ということは、今ダイモスが魔法を使ったってこと?」
「いや、違う。今のはただ反応しただけ、という感じだ。
どちらにせよあいつが魔法を使えるという裏付けであることには変わりないが」
そうだよな、と強い口調でヘリオトロープが詰問するようにダイモスをはっきりと睨みつける。
ダイモスは強い視線にも表情を変えずにただ頷いた。


