「あたしがキミのその“力”を手に入れようとするとは思わないの?お母様の話をしてあげた、そして一晩泊めてあげた恩の見返りを要求するとは思わないの?
もしそうされたらキミは拒否できるの?」
「・・・そ、んなの、」
「―――・・・なーんてね」
困惑に立ち止まった私にクワオアがぼそりと呟く。
そうして顔を上げた彼女は、
笑っていた。
固まったまま身動きをとらない私にクワオアが眉を下げる。
「こんな試すみたいな言い方をしてごめんなさい。でもキミは油断しすぎよ。この先、こうして言い迫られることも想定していた方がいいわ。
あたしみたいな人ばかりではないと思うから。ヒューマンは勿論、ドワーフ、マーメイド、ヴァンパイア・・・キミの力を狙っている種族がいるかもしれないのだから」
「う、・・・うん」
先程クワオアの言葉にひやりとしたのは確かだ。真剣な眼差しと声色に、私はたどたどしく首を上下に振った。
それを確認して、クワオアは相合を崩す。
そして私に歩み寄りながら口を開いた。
「あたしからの―――ケットシーからの要求は、ただ一つよ」
そして、私の手首をそっと持ち上げ手に持っていたものを私の手のひらにのせて握らせる。
「・・・どうか、皆が笑顔で暮らすことのできるセカイをつくって。ただ、それだけ」
私はゆっくりと順繰りに指を開いた。
しゃらりと音を立てて指の隙間から零れ落ちる細く連なった鎖。そしてその鎖には眩く虹色にきらきらと煌めく指先大の結晶がついている。


