そのフードをそっと持ち上げる。その途端抑え込まれ隠されていた濃密な光が俺の目を焼いた。
堪らず目を細めたが、じきに慣れる。
外套越しに胸部が上下しているのを見て、眠っていることを確認した。
俺はそのあまり穏やかとは言い難い寝顔を見つめる。
生きとし生けるものが作った壁など関係なく、どこにでも平等に降り注ぐ月の光から逃げるように俯かれた顔には、長く細い睫毛が頬にしっかりと影を伸ばしている。
そしてそれに隠れるようにして、はっきりと両目の下から顎にかけて涙の跡が残っていた。
すう、すう、と桃色に艶めく唇から微かに聞こえる吐息が穏やかなことだけが救いだ。
気がつけば俺は親指でその涙の跡をできるだけ優しくなぞるように擦っていた。
それがくすぐったかったのだろうか、きゅっと僅かに顔をしかめられたが、すぐに弛緩する。
俺はその様子をただ固まって見ていた。
「俺、今・・・何をした?」
頭で考えるより、先に体が動いてしまっていた。
この少女が人知れず泣いているのが、どうにも・・・許せなくて。
何よりも、自分が。
守る、守ると口先ばっかりで。
結局、こいつは出会った時から何も変わっていないのだ。あの日庭園で、俺に彩のない瞳を向けてきたあの時から。
あいつにとっては俺がいようがいまいが、何も変わらない。
他人に頼ることを知らずに、全てをひとりで抱えようとして。


