黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う


そう自分の中で結論づけて目を閉じ深く息をついたとき、がちゃりという扉の開閉音が微かに耳に入ってきた。

クワオアとあいつが一緒の部屋で寝るなどとそんなことを言っていたような気がするから、おそらく2人のどちらかが部屋から出ていった音だろう。

・・・騎士として訓練してきたために五感が鋭いというのは利点の方が多いが、こういうときは気が散ってしまうのであまりいただけない。


俺はもうすっかり綺麗になった剣を意味も無く再び磨き始めた。

暫くそうしていたが、出ていった者が帰ってくる音はしない。

俺はちらりと大きく開いた窓から空を見上げた。

黒い闇空にぽっかりと穴が空けるように浮かんでいる、白金の月。

俺は数瞬それを見つめた後、剣を鞘に収めた。金属と金属が擦れてしゃらんと鳴る。


「・・・くそ、面倒臭いな」

なんとなく予想はついた。

俺はがしがしと乱雑に数度髪を掻き回して、勢いをつけて立ち上がる。

面倒臭いと言うなら放っておけばいい。自分でもそう思う。

でも、何故だか自然と体が動いてしまうのだから、もう抵抗するのも阿呆らしい。


俺はがちゃりと扉を開けて部屋を出た。

一体何処にいるのだろう、

・・・あいつは。

長い廊下を踵を鳴らしながら歩いていくと、遠目にはよくわからなかったが突き当たりに曲がり角があった。

近づいていくと、その向こうから微かに燐光が漏れ見える。

俺はそれを見てため息を一度つくと、躊躇いなくその角を曲がった。

そして、もう一度大きく息をつく。

「・・・おいおい、こんなとこで寝たのか」

白い外套を被ってうずくまる人影を認めて、俺はしゃがみ込んだ。