多分、私の声は酷くひっくり返っていたと思う。
そんなはず。ないのに。自分の体をかき抱くと、確かに―――はっきりとわかるほど、無様に震えていた。
何故、何故。
私はひとりぼっちで夜を過ごしていたから夜が怖かっただけのはずなのに。だから、あの紫の少年がいてくれれば静かに眠りに落ちることができただけのことのはずなのに。
だから、今だって、怖いと思うはず、ないのに。
「違うのかもしれないわよ?」
心を見透かすような言葉に激しく体を震わせる。
「何、が」
「ねえ、アムネシア。・・・“誰か”とではなくて、“彼”となのではないのかしら?」
“彼”が誰のことを示しているのかがわかって、私は思わず肘をついて体を起こして振り返った。
「・・・何、言ってるのクワオア・・・そんな訳ない。私が、っ、ヘリオトロープと居る時だけそんなこと思うなんてことあるはず、ない。
・・・例えそうだとして、どうして」
そう話しながらも、どうしてか絶対的な自信を持ってそうだと言い切れないことに混乱してきて、私はひとり自分に質問を投げかけるように茫然と呟く。
クワオアは布団を被ったまま、そんな私に表情の読めないぼやけた視線を合わせてひとこと、
「―――さぁ?」
と、ただそれだけを言った。
たった2文字が何故か無視できない重みを持って私の胸にのしかかる。
自分で考えろ、というように突き放されたような気がした。
見た目の何倍も、もしかしたら何十倍も何百倍も生きている彼女は本当はこの私の疑問の答えをわかっているのではないか。そう思われてならなかった。


