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「それじゃ、灯消すわね」
「・・・うん」
ひゅう、という感じの何かを擦るような音がして、仄かに明るかった部屋は夜闇に染まっていく。
何でこんなことになっているんだろう、とそんなことを思いながら、私はベッドの端の方を向いて布団を口の辺りまで引き上げて顔を埋めた。
―――眠れない。
「・・・アムネシアスムリィ姫?」
背中越しに私の名をそっと呼んで蠢く気配がする。
「何?クワオア」
「こうして誰かと夜を過ごすのなんて、いつぶりだろうなってそう思っただけ、よ」
ふふ、と笑う彼女の声色は少女のようにあどけない。
「そうだね・・・」
だからだろうか。私は心の内をほんの少しだけ、自然と零した。
目を閉じれば、何故か思い浮かぶのは―――あの、儚くて無愛想な紫。
「誰かと過ごす夜は・・・怖くないの。心細くないの。・・・昏く、ないの」
私の声が部屋に響いて、消える。
クワオアから返事が返ってこないので不審に思って振り向こうとした時、ずり、と布のずれる音がして、背中を暖かいものが覆った。
それが彼女の背中なのだと気がついて、思わずぴくりと体を跳ねさせる。
そのまま暫くして、彼女の言葉が直接背中を通じて私に響いてきた。
「・・・本当に?本当にそうなの?」
「え?」
「本当に怖くないの?」
「どうして、そんな事言うの」
「だって、アムネシア、キミ・・・震えてるわよ」
「・・・・・・え?」


