それから彼女は微かに口を開いて、吐息を零すように小さく呟く。
「キミたちは、やっぱり出会えてよかったのかもしれないわね。
・・・もし運命が違ったとしても」
「―――え?」
要領を得ない上聞き取り辛い声にすぐに聞き返すと、クワオアはもう一度微笑んだだけで何も言ってはくれなかった。
ぱち、と幼い動作で手を叩き合わせる。
「さて!じゃあ、今日はもう遅いことだし、寝ましょう?
部屋はたくさんあるからここに泊まっていくといいわ。わかっているとは思うけれど、暗い中出るのは危ないわよ」
その言葉にヘリオトロープと2人で顔を見合わせた。
まだなんとなく気まずい空気が残っていて私は視線を逸らしてしまう。その直後ヘリオトロープがため息混じりに口を開いた。
「そうさせてもらうことにしよう。・・・お姫様は野宿続きは辛いだろうしな」
「・・・なっ、きみはいつもいつも『お姫様』って!」
私の抗議の声を無視し、じゃあ勝手に部屋使わせてもらうぞ、とそう残して、彼は大儀そうに髪を掻き混ぜながら部屋を出ていった。
突っ込みどころが多過ぎて何処に腹を立てたらいいのかわからないが、とりあえずむすっとむくれた顔をしてヘリオトロープの背を見送る私の頬をクワオアが軽く指先で摘む。
「・・・なにふるほ」
「今日はあたしと寝ない?」
「へ」
悪戯っぽい笑顔と共に落とされた突然の提案に私は素っ頓狂な声を上げた。


