黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う


信じられない言葉に私は目を剥いて、ただただ首を大きく左右に振った。

「そんなこと、しない・・・!」

確かに私にはできるのかも、しれない。でも、滅ぼす、だなんて。

・・・滅ぼす?このセカイを?

私は茫然と頭を揺らす。

「・・・ううん、できない」

ヘリオトロープと旅に出る前の私なら、あるいはそうしていたかもしれない。

そういえばこんなセカイなくなってしまえばいいと、そう思ったことだってあった。

でも、今は・・・違う。

今まで知らなかった、ずっと壁をつくって隔ててきた外界を彼と歩いて。翔んで。

自分の目で、見て―――

光と笑顔に、そして人々の想いに溢れる、このセカイを見て。

このセカイを壊そうとすることなんて、できるはずがない。

今でも不条理に思っていることは否定できないけれど、憎らしいだけのセカイではないのだとわかってしまったから。

このセカイ中の人々から見れば、私がこの数日で見たものはほんの断片でしかないのだと思う。

それなら、もっと、もっと、このセカイには素晴らしい色々なものがあるのではないかと。

そう期待してしまった私は―――もう。


私は顔を上げて、ヘリオトロープの紫の瞳を真正面から見据える。

「できないよ、私。そんなこと。

そう、それに・・・母様は、私の力をセカイ中を幸せにできる力だ、って言った。セカイを滅ぼす力なんかじゃない。“希望”なんだ、って・・・私はそれを信じたい。

だからね、ヘリオトロープ。私は自分の力をそんな風に使ったりは、しない」