そんなこと・・・本当は、私だって。
「でも・・・」
でも、それ以外に、この感情を抑える方法があるの?このぽっかりと開いた気持ち悪い心の隙間をどす黒いものに塞がれてしまいそうな、この感情を。
自分がこんなものを抱えてるなんて、知られたくない。
「でも、でも・・・!」
駄々っ子のようにそればかりを繰り返す私をヘリオトロープは静かに見つめる。
その視線は私を見透かすようで、思わず身じろぎしてしまう。
「・・・お前は、本当はこのセカイに生きていたくないというより、このセカイが死ぬほど憎いんだ。
お前を特別な存在にして、母親を殺したこのセカイが。
自分の運命を決めてしまったこの不条理で残酷なセカイが。
自分を正当化して逃げようとしてるだけだ、お前は」
「・・・っ」
私は急激に顔に熱が集まるのがわかった。
とてつもない羞恥。言われて、自分でも驚くほどすとんと胸に落ちたものだから、それは本当に言葉に言い表せるものではない。
「ち、ちが・・・」
否定の言葉は紡げない。
違わないと解ってしまったから。ヘリオトロープの言葉は私に深々と突き刺さった。そうか、この黒い感情は、それなのだと。
何も言えない私に、彼はただ口を開く。
「お前、本当は自分が生きていなければいいなんて思ってないだろ。
・・・そんな綺麗事を言ってないで、セカイを滅ぼしてみれば良いんじゃないか。憎い憎い、歪んだこのセカイを。お前にはそれができるだろうよ」


