黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う


―――何故。

今の話を聞いている限り、私の誕生は本当にありえない事だったはず。

本能的に、踏み込んではいけない部分なのだとわかりながらも、私は訊いてしまった。

「それなら、どうして、私は」

そして・・・後悔した。

絶対的に、空気が凍ったから。

特にヘリオトロープに関しては如実に現れていた。私がそう言った瞬間、糸が切れた操り人形のように深く、深く頭を垂れた。

クワオアも視線を逸らす。そっと、でもはっきりと。

それを見て、私はそれ以上何も言うこともすることもできずに固まってしまった。

全てが教えてもらえるわけではないのだ。誰にだって、隠したいことのひとつやふたつ、あるものだから。

私にはいつか話してもらえる時が来るのだと信じて、待つことしかできない・・・今までも、これからも。


重苦しい沈黙が部屋を満たし、呼吸が苦しくなってきた頃、空気を変えるようにクワオアが鋭く息を吸った。

「そう・・・そう、プレティラは、あたしに何度もその詩を繰り返したわ。うわ言のように。

私のせいで、と何度も何度も呟いて。私にできることなら何でもするからどうにかして欲しい、と」

私もそれに便乗するようにして努めてはっきりと声を出す。

「その方法は禁術しかなかった、ってこと?」

「ええ。でも、禁術には限界だってあるし、さっきも言ったけれど代償だって必要になるわ。

・・・本当は使いたくなかったわよ。禁術だなんて、不幸しか招かないもの」

クワオアは最後の方は小さく囁いて、1度大きく息をついた。