「あの日―――プレティラは、あたしを見て、ただ嬉しそうに笑ったの。ああ、やっと見つけた、って。
そして・・・助けてください、って言ったの」
「助けて?一体、何を」
「彼女はただ、私の娘を、と」
私は大きく目を見開く。
「それ、って・・・」
クワオアは、私の存在をずっと前から知っていたということだ。
私の責めるような視線に、彼女は、どんな形であれ成長したキミに接触したかったの、会談の時は意地悪なことしてごめんなさいね、と微かに目を伏せた。
「アムネシアスムリィ姫。
キミは本当に幼くて・・・プレティラの腕の中で小さく丸まってすやすやと眠っていたわ。
でも、そんな赤ちゃんを指し示して、彼女は言ったの。
『特別な力を持つ子を生んでしまった。セカイの転機となるだろう力を持つ子を。このままでは、この子のせいでセカイが滅んでしまう』」
「あ・・・」
その言葉になんとなく心当たりがあって息を飲む。
実際、今私の封印が解けたせいでセカイは崩壊し始めている。
「もしかして、私に“封印”をしたのは、クワオアなの?」
ばっと顔を上げて顔を見据えた私にクワオアは自嘲するように薄く微笑んだ。
「“封印”・・・そういう言い方もできるかもしれないけれど、あたしがキミにかけたのはそんな崇高な術ではないわ。
―――禁術のひとつである、種族を変化させる術よ。」
「それで私は、17歳までヒューマンの姿になっていた、ってこと・・・」
そういうこと、か。
でも、そもそも母様は何故、私がそんな存在だとわかったのだろう?幼い時に能力を確認する機会があったとも思えない。
そう尋ねると、クワオアは何やら微妙な顔をして、ヘリオトロープを見た。


