ヘリオトロープの、外套。
出会った時から、何があろうと脱ごうとしない、“あれ”。あれはきっと彼にとって、何か重大な意味を持つものなのだ。
何かを、隠しているような。
・・・それが何なのかは、全くわからないけれど。
ふぁ、と息が漏れた。
眠気は全くないのに、目の前に寝顔があるというのはそれだけで随分睡眠を誘うようで、私は目を閉じる。
―――それとほぼ同時に、ずきん、と形容のし難い痛みが全身を駆け抜けた。
電流が走るような痛みに、私は堪らず目を開いて肩を抱いてうずくまる。
もぞり、と背中が強烈な疼きを感じて、反射的に着ていた外套を強引に剥ぎ取った。
外套を跳ね除けた腕が、薄闇に淡く発光して浮き上がっている。それを見て私は思わず固まった。・・・いつか見たような、光。
指の先から耳の端まで、全身を襲う気持ちの悪い痛みに私は唇を噛み締めて、暗闇に隠れてもうほとんど見分けのつかない地面を睨みつける。
ずきん、と一際背中が脈打つ。本来あるはずのないものが存在を主張する。じわりと鉄の味が口の中に広がった。
「・・・っう!?」
それでも堪えきれない声が口の端から漏れる。
その私の声に文字通り飛び起きたヘリオトロープが目を見開いた。
その表情に私は震える指先をどうにか持ち上げて自分の耳に触れる。
耳の付け根からの滑らかな曲線を描くはずの指は、尖った縁を確認した。
ああ、嘘。
信じたくないけれど、じゃあ、さっきからずっと感じている背中の疼きも―――


