「ったく・・・いつまで見つめ合ってるつもりだ、早くやれ」
片脚をあげた状態で呆れたような目で私を睥睨するヘリオトロープ。殺れ、というニュアンスをはっきりと含んでいるその声に、慌てて私は首を振った。
「無理、私にそんなことできるわけがないでしょ!」
「・・・冗談だ、非力なお姫様に本気でそんな事言うはずがないだろう」
「は、冗談・・・?」
ヘリオトロープってそんなこと言う人だったっけ。
ぽかん、と口を開ける私にヘリオトロープはほんの微かに口角を吊り上げた。
「・・・情けない姿を晒して悪かったな。戦えるはずも無いのにまた飛び出してくるなんて、俺の姿がよっぽど不甲斐なかったんだろう。
任せておけ。俺が、どうやってでも・・・あいつらを倒す」
どうやってでも、とその言葉には少し不安を覚えたけれど、私は頷いた。
また輝きを取り戻した深紫の隻眼が痛いほどに眩しかったから。
ヘリオトロープが再び前を向き直って剣を構える。
良かった、と。そう思ったと同時に手の中から熱が消えた。
「へ」
嘘、こんなタイミングで消えるなんて。
良く考えれば今まで炎がついていたことの方がおかしいのだけれど。
私が茫然として剣を軽く振り回していると、それを見た男たちがまた頷き合って私たちの方に向かってきた。
ヘリオトロープがほとんど男たちを相手取る。
でもやはり、先程までと違い焔の剣を持っている私も警戒されていて、どうにか剣で攻撃を受け止めているものの、慣れない武器のせいで腕がじんじんと鈍い痛みを感じ始めていた。


