私は迫る焦りに震える唇をどうにかなだめながら、口を開いて大きく息を吸った。
ヘリオトロープはあのとき、焔の剣は能力の発動に反応すると言っていた。
私はBoostは使えないけれど・・・自分の能力がわからない今、私にはこれしか唱えられるものはない。
Boostの起句をなぞる。
「・・・『私は貴方を助けたい』!」
突然起句を唱えた私に男たちが身構えて立ち止まった。
でもそれもつかの間、1人が堪えきれないといった様子で笑い出す。
「はは・・・なんで起句しか言わねぇんだ?お嬢ちゃん、怖すぎて詩が思いつかねぇのか?」
違う。そんなわけない。今更こんなことで。
違うけれど―――
確かに、私の姿は酷く滑稽に映るだろう。
やはり、Boostを使えない私では駄目なのか。
刀身がかたかたと揺れるほどぎゅっと柄を握りしめる。
「なんで・・・っ!」
点け、点け、点け!
願っても祈っても、その赤い刀身は陽の光を照り返すだけ。
・・・そんな。
私はただ、ヘリオトロープの助けになればと思ったのに。
これでは更に足でまといになっただけ、ではないか。
男たちが再び斬りかかろうと迫ってくる。
それを瞳に映しながら、私は滲む視界を狭めて、小さく零す。
「・・・ヘリオトロープに、一度途切れた闘志をまた取り戻してもらいたいと、そう思っただけなのに・・・っ」
ずっと黙っていたヘリオトロープが隣で鋭く息を呑んだ。
ああ、聞こえたのかな・・・少し、恥ずかしいな。
全てがスローモーションに見えるぼんやりとした頭でそんなことを考えたとき、微かにちりっと手のひらが疼いた。


