きんっと軽い音がして、ヘリオトロープと男が切り結ぶ。
「・・・ふん」
ヘリオトロープが片手で軽く男を後ろへ払い除けた。
周りを牽制するように、ぶん、と必要以上だと分かるほど大振りにひと薙ぎして剣を構え直す。そして男達の集団の中に自ら突っ込んだ。
本当ならそんなことはしない方がいいに決まっている。距離をとって1人ずつ、あるいは数人ずつ相手取った方がいい。
そんなことはヘリオトロープだって十も承知だろう。それでもそうするのは、多分―――私がいるから。
私を戦いの中に巻き込まないように、そして人質に取られないようにしているのではないだろうか。
・・・いいのに、私のことなんて。
そんなことが一瞬頭をよぎって、慌ててかき消した。
違う。私、じゃない。全部・・・母様のため、だ。
でも今はそんなことを考えている場合ではない。祈るように両手を握り合わせる私の視線の先で、ヘリオトロープが男達の間をくぐり抜け、時には攻撃に転じる。
その動きはその中の誰よりもずば抜けて卓越しているものの、決定的な打撃は与えられないようだった。
男たちの統制がとれているのだ。いつかのようにばらばらにかかってくるのではなくて、順番に、追い詰めるようにじりじりと攻めてくる。
相手の人数が多い、動きが良い。それに加えて全力疾走のあとだ。
・・・本当に、勝てるの?
ヘリオトロープがククリナイフを握った男の斬撃を受け止める。
ッ、と鋭く息を吸った音が私の耳まで届いた。
ああ見えてやはり焦っているのだろう。ヘリオトロープが早く次の攻撃に転じようと跳ね除けるため強引に力を込めた。


