黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う


「ど、どうしよう・・・?」

小声でヘリオトロープに尋ねる声は微かに震えてしまった。

「・・・どうするもなにも、早くここから立ち去るしかないだろう」

いつも飄々としているヘリオトロープもさすがに硬い声になっている。

もう意味が無いものとしか思えないが、自分は私と違い特段目立つ容姿という訳では無いからと被っていなかったフードを片手で無造作に引っ張った。

フードの下から見える表情も硬い。

でもそれも当然だと思う。今までは私だけが狙われていたけれど、こうなっては彼の方が紙面の情報しか知らない、本当のことを何も知らない人々にとっては大きな目印となるのだから。

「行くぞ」

1度だけ大きく息をついて物陰から飛び出したヘリオトロープが数歩も進まないうちに立ち止まった。

その背に鼻をぶつけそうになった私はひやりとして鼓動を早くしながら文句を言おうと口を開いたが、その前に素早い動作で振り返ったヘリオトロープが口元に人差し指を当てたのを見て口を閉じた。

「・・・人が来る」

広場とは反対方向に顔を向け目を細めるヘリオトロープの短い呟きに私ははっと息を飲んだ。

今はまだ足音も聞こえないほど遠くだから向こうには存在を気づかれていないだろうが、もう物陰から出てしまった後だ。

そのまま進むにせよまた隠れるにせよ、黒と白の目立つ服装の私たちは動けば多分気づかれる。

進むか、戻るか。その答えは私を引き寄せたヘリオトロープの腕だった。