「っ、お前、ルクムエルク家は、やはり・・・!」
怪しいと思っていた。特に、宰相のダイアンの動きは。
それでも、まさか一族を巻き込んでいるとは。
あの時の賊は彼女が命令して放ったものだったのだろう。
「あーあ、しくじっちゃったわ、使えない部下に任せずに、私が自分で行けば良かった。
連れ去られるかもしれないなんてお父様から聞いた時は信じられなかったけれど、本当にそうだとしたら、そいつが何処の誰だろうと、美味しい所だけ持っていかれるなんて我慢ならないものね」
マリアは恍惚とした表情でぺろりと舌なめずりをした。
「ずーっとこの時を待っていたのは私たちだもの。
ああ、彼女さえ手に入れれば・・・私たちがセカイの覇者となるわ。この国を手始めに、セカイ中を支配するのよ。
今回は失敗してしまったけれど、諦めないわ。せいぜいその時まで、お姫様を守っていて頂戴ね、可愛らしい騎士様?」
「何勝手なことを―――」
俺が剣を持った手に力を入れた時、鈍い音で鐘が鳴り響いた。
無情にもその音は重なって増えていく。
遂に、ごぉん、とひとつ鳴って、余韻を残して消えた。
ああ・・・運命が、崩れ落ち始める。
「ふふ、タイムオーバー、ってところかしらねぇ?」
愉しげな口調で嘯く彼女に、俺はとうとう剣を半身抜いた。
「ふざけるな・・・っ、くっ!?」
身体が脈打ったように感じて、踏み出した足元がぐらりと歪む。


