今日。
見る間に迫っていくタイムリミットに、汗が伝う。
だから母様も、今思ってみればヘリオトロープも、ずっと時間を気にしていたのだ。
あと、5分。
「え・・・私の力って、そんなに危険なものなの?そ、そんなの・・・」
あんな、悪意の塊のような、あいつが手に入れたら。
どうなる?
「安心して、アムネシア。“あの子”にはあなたのことを連れては行かせないわ。
ヘリオトロープが、あなたを守ってくれる。」
不意に現れたその名前に、ずきりと変に胸が痛んだ。
「・・・ねえ母様。私を今日外に連れ出してって“お願い”したのって、母様?」
「そんなこと言ったのね・・・ええ、そうよ。もうあなたが自由に外のセカイを歩くことはできないかもしれないと思ったから。1晩でも、と思って」
「・・・そっか、ありがとう、母様。」
私が礼を告げると嬉しそうに笑った母様の顔に、私は何故かぎゅっと体が押しつぶされそうな気持ちになった。
だってこれから先、ヘリオトロープが私を助けてくれたって、それは母様が私のことを守ってと“お願い”したからなんでしょう?
そんなの・・・
私はそんな思いを振り切るように大きく首を振った。
「アムネシア。“あの子”から逃げられたら、ヘリオトロープと共に、まずベルデの森を目指しなさい。彼にも言っているわ。
きっと彼女との出会いはあなたにとって必要だわ」
まるで自分は行かないと言う風に喋る母様に驚いて、腕を強く掴む。


