「母様・・・?」
「アムネシア。話さなければならないことが、あります」
急に改まった口調になった母様に、私は体を固くした。
なんとなく・・・嫌な予感がして。
「な、なに、母様?」
母様は1度目を閉じて、次に開けた時には瞳に微塵の動揺もなかった。
「もう時間が残っていないから。言ってしまうけれど・・・あなたを“あの子”が迎えに来るのは、日が変わる瞬間、0時よ。あなたが生まれた、時間」
「“あの子”・・・?母様、知っているの?私の夢に現れ、迎えに来ると言った不気味な道化師の仮面の男のこと・・・!」
「道化師の仮面?・・・演出が美徳と思っている節があるのかしらね、あの子ったら」
私は母様の肩に手を乗せて身を乗り出した。
「母様!何か知ってるんでしょ!教えてっ!」
「それは・・・教えられないわ。私にはそんな資格がないから」
母様は苦しそうに息を吐き出す。
「どうして」
その姿に何も言うことはできなかったけれど、堪え切れずに小さく零した。
どうして。皆何かを知っているのに・・・教えてくれないの。
私の知らないところで、何かが起こっているのはわかるの
に。
私の視界は、ずっと靄に包まれたまま―――
「・・・続きを、話すわね。」
母様の声に意識を呼び戻されて、私は慌てて頷いた。


