「かあ、さま」
彼女を呼ぶ言葉は、驚くほどするりと出てきた。
私の口は最初からこの言葉を言うために存在していたのだと、そう錯覚するほどに。
「母様!」
顔を上げる私に、母様は微笑んだ。
「ずっと会いたかった、母様」
「私もよ、アムネシア。愛しいわが子!」
頬が蕩けそうになりながら、私はゆったりと尋ねる。
「でも、母様、どうしてここへ・・・」
「ここに来れば、絶対会えることがわかっていたからよ」
母様はそう言って、緩く弧を描いていた唇を苦しそうに真一文字に引き結んだ。
私はその表情の意味がわからなくて、首を傾げる。
「母様?」
母様はゆるゆると頭を振った。
「・・・ごめんなさい、アムネシア。私のせいで辛い思いを沢山させてしまった。
私のせいで、あなたはこんなところにずっと閉じ込められて。
私のせいで、あなたはずっと人々から疎まれ続けて。
私があなたを産んだせいで。私が親でなければ。私が・・・」
突然堰を切ったように自分を貶める言葉を吐き始めた母様を、私は堪らず力の限りにぎゅうっと抱き締めた。
「母様。母様が言ってること、よくわからないけれど・・・私、母様の子で良かった」
「っでも、恨んでいるでしょう・・・?」
信じられない、とでも言うように目を泳がせる母様に、私は精一杯の笑顔を向けた。


