目の前で揺れる外套を追う。
そういえば、彼は2人との戦闘の間も、ついぞこの外套を脱がなかった。
絶対に着ていない方が動きやすいというのに。
俺は他の人とは違うのだという牽制?
それに、さっき・・・
彼はどうやって、あんな一瞬で賊を倒したのだろうか。
直前、何かを言っていたような気がするけれど―――
私は目を焼くランプの光に目を細める。
大通りに出たのだ。
人の行き交う騒音に安心して胸をなでおろした。
ごぉん、と時計台の鐘が大きく響く。
鐘は時間の進んだ数を刻む。
私は無意識に鐘の数を数えた。
「10・・・11」
今日が終わるまで―――あと1時間。
ヘリオトロープが隣で時計台を見上げる。
「・・・もう時間だな。急いで戻るぞ」
私を見ないまま呟かれたその声に、ずきりと胸が疼いた。
必然の別れが近づいていること。それが伝わってきて。
返事をできないでいると、ヘリオトロープがまた歩き出した。
彼の動きにがしゃり、と音を立てる剣に目がいく。
「え・・・」
私は信じられないものに目を見張った。
「なんだ?」
「ちょ、ちょっとさっき拾った剣見せて!」
ヘリオトロープは訝しげな視線を向けつつも私に鞘を差しだした。
私は受け取るや否や柄の部分を凝視する。
「やっぱり」
見たくなかったものに目をぎゅっと瞑り、それをヘリオトロープに返した。


