黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う


でも・・・当たり前、か。初めから言っていた、『お願いのためだ』と。

知らない間に、随分とこの少年に傾倒していたようだ。

ほんの少しだけ、変に優しいから。ありもしない幻想をいつの間にか抱いていた。

私は微かに頭を振った。

「ごめん、なんでもない。おかしなことを言った」

「・・・」

ヘリオトロープが何かを言おうと口を開いて、閉じた。

そうだ、それでいい。

それが普通なのだから。

ヘリオトロープが踵を返し、通りに向かって歩き出した。

私はゆっくり後を追う。


私とこの少年との関係は歪すぎて。

こんなに短い時間では、距離感がわからない。

自分が心を許さないのに、その一方では心を許したいと思ってしまっている。


今夜限りの歪な主従。

夜が明ければ私は何処かに行っているはずで、もう会うこともないだろう。

どうしようもなくこの少年が気になっていく自分に、腹が立つ。

彼の瞳が時折孕む昏い輝きは、私が抱えている暗闇と似ているように思えて仕方がなかった。

きみは、私のことをただの守護義務対象だとしかみなしていないだろうけれど。

もっと、きみのことを知りたいと。きみの傍に居てみたいと。

そう思う気持ちが、止まらない。

きみの腕に身を委ねて、翔べるところまで翔んでみてしまいたいと。

そう、叶うはずのない願いを、抱いてしまった。