黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う


「・・・『全ては我が手に』」

暗闇の中でヘリオトロープがそう小さく呟いた声が耳に届く。


あれ、熱くない・・・

がしゃん、という音がすぐ近くで聞こえて、目を開けた。

光を失った瞳とまともに目が合い、飛び退く。

「え・・・?」

04が剣を投げ出し、仰向けに倒れている。

09もヘリオトロープの目の前で身を投げ出していた。

動かない眼球を恐る恐る覗き込む。

「し、死んで・・・っ」

「そんなわけないだろう。気を失ってるだけだ、当分は動けないだろうけどな。こんな奴ら殺す必要も無い」

ヘリオトロープが、ざ、と地面を蹴って歩み寄ってくる。

炎を失ったものの残熱でじりじりと地面を焦がす焔の剣をヘリオトロープがひょいと拾い上げた。

「『私は貴方を助けたい』・・・焔よ」

04が唱えた文をなぞるように呟く。

ぼっと再び剣が炎を纏う。ただ、先程とは比べ物にならないほどの眩い炎だ。赤を通り越し青く光っている。

「・・・なるほど、能力の発動に反応するのか」

ヘリオトロープが軽く一振りして炎を消すと、04の腰から鞘を拝借し、赤みを帯びる刀身を誇る剣をその同色の鞘の中に納めて腰に提げた。

それから、彼は私の瞳を正面から見据える。

紫の瞳が感情を抑えるように鈍く瞬いた。

「お前は」

硬い声に体をびくりと震わせる。

怒っている。感情の昂りを隠そうとする姿は、どことなく私と重なって見えた。

「お前は、何がしたいんだ」

「ご・・・」

私は反射的に謝ろうとして開いた口を閉じた。