黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う


04は走りながら、何故か不敵に笑った。

剣を両手で握り、叫ぶ。

「『私は貴方を助けたい』!

焔よ!」

唄の起句に続けられたのは、詩ではなかった。

「なに・・・?」

目を細める私に、ぼうっと剣が燃え上がるのが見えた。

燃え上がったとしか、形容できない。剣の表面を緋い炎が見る間に覆い尽くす。

「はは、“焔の剣”だ!いい拾い物をしたぜ!こんなすぐに使うことになるとは思わなかったけどなぁ!」

不気味に笑いながら、ヘリオトロープに斬りかかる。

ヘリオトロープは特に驚く風もなく、緩慢に09から視線を変えた。

遅い。炎の手がヘリオトロープに迫る。

焔の剣は炎を纏っているせいで普通の剣よりも射程距離と攻撃範囲が格段に伸びている。

いや、きっと彼のことだから間に合うのだろうけれど―――


気がついたら、駆け出していた。

自分でも驚く程に足が早く動いて。地を強く蹴って。

04の背中に追い縋った。

足音に振り返った04が目を見張りながらも嗤う。

ヘリオトロープに向けていた剣を私に向かって振るった。

迫る炎に何故か恐怖は感じなかった。

ただ、少しはあの腹の立つ少年を見返せたのではないかと、そんな場違いなことを思って私はほんのり得意げに微笑んだ。

ヘリオトロープは私と目が合うと焦ったように微かに口を開いた後、眉を吊り上げた。

視界が緋く染まる。全身が炙られるように熱い。

何その顔。助けてもらったくせにそれはないんじゃないかな・・・

私はゆっくりと目を閉じた。