感動したように、目元を抑えてそう言った葵くんに、苦笑いを浮かべながらそう言う。
『冗談だって!』
そんな私に、さっきの感動の涙とやらが嘘のように消えて、笑いながらそう言った葵くんにつられて、私も笑みを浮かべる。
『……風花ちゃん、いきなりそれは反則だって。
俺、今マジで感動した』
少し顔を赤らめながらそう言って顔をそらした葵くんを見て首をかしげる。
私、今何もしてないよね?
ましてや、葵くんを感動させるようなこと言ってないし。
『俺さ、実は結構前から風花ちゃんの事狙ってたんだよね』
今日初めて見せた真剣な表情でそう言ってニッと笑みを浮かべた葵くんを見る。
……ん?
狙ってたって、私を?
私からお金でも巻き上げようとしてたとかっ⁉︎
慌てて少し葵くんから距離をとり、鞄を抱きしめると、一瞬目を見開いた葵くんが、呆れたような笑みを浮かべた。



